主催 :「科学の祭典大分大会実行委員会」
共催 :「公益財団法人 日本科学技術振興財団」「NPO法人 大分に科学を広める会」

昨年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、科学の祭典は中止せざるを得ませんでしたが、今年は何とかして開催できないかと、感染症対策を模索しました。
その結果、消毒やマスク着用は当然のこととして、以下のような対策を講じて、11月21日(日)大分県立香々地青少年の家(豊後高田市)にて開催しました。

  1. 密を避けるため、午前と午後の2部制にして参加者を分散する
  2. ブースの数を例年の半分程度に少なくする
  3. 参加者は長机に2人までとし、ブースの定員を設定する
  4. 事前申し込み制とし、ブース全体の総定員に達した時点で申し込み受け付けを終了する
  5. ブースの配置は、参加希望者数や定員数を配慮して設定する
  6. 講師、補助講師、スタッフに対して、開催直前に抗原検査をする

大分県のCOVID-19の新規感染者がゼロの日が続く中、当日はお天気にも恵まれて暖かく、絶好の日和でした。午前の部、午後の部とも参加希望者は定員に達し、保護者も含めて200人余りの方が来場されました。今回の祭典では、「香々地青少年の家」のプラネタリウムでの上映会と10種類のブースしかありませんでしたが(例年の4分の1のブース数)、子どもたちには存分に科学を楽しんでもらえたのではないかと思います。また、感染症対策をしながらの初めての開催であったため、このくらいの規模が実行委員会としても、混乱なくできてちょうど良かったのかもしれません。

【作って飛ばそう!空力翼艇】講師の小学校6年生の息子さんが、今回は助手として参加。他の子どもたちの指導に当たっていました。子どもたちが作った翼艇は2m程度しか飛ばないのですが、この助手さんの翼艇は、会場の端まで届きそうなほど、よく飛んでいました。動画を撮影しようとしましたが、あまりにもスピードが速すぎて撮影できませんでした。残念!

【夜空に見える星の並びは3D】美しいビーズを使って、北斗七星の星の並びを立体的に作りました。私たちは、地球から見える星たちを結んでできる図形から星座を描いていますが、実際は3次元の世界なので見る方向によって図形の形が違うということに改めて気づかされました。(『実験解説集』●もっと詳しく知るためにより https://edu.jaxa.jp/materialDB/contents/material/pdf/79037.pdf )
南阿蘇ルナ天文台の星のコンシェルジュのお話(ルナ天文台のプラネタリウム内にて)「北斗七星の秘密にせまる?!立体地図が星空ツアーにやってくる!」https://www.youtube.com/watch?v=qFhGbSnPxZ0

【紫芋のミラクル七変化】紫芋の色素アントシアニンの紫色が、酸性やアルカリ性にすると変わることを観察しました。実験には卵パックの空き容器を利用しています。紫、赤、緑、青と綺麗な色の変化が楽しいですね。

【紫キャベツの電気分解】こちらも紫キャベツの色素、アントシアニンの色の変化を利用した実験です。キッチンペーパーを紫キャベツの汁を加えた食塩水に浸して電流を流すと、食塩水が電気分解され、陰極付近の液はアルカリ性に、陽極付近は酸性になります。電極をペーパーに当てて、色を変化させてお絵描きをします。

【えんぴつに電気をためて蓄電池つくり】
水を電気分解すると陰極に水素、陽極に酸素が発生します。この実験では、なんと鉛筆を電極にしています。ブクブク泡が出ているのが見えますね。鉛筆の芯には目に見えない穴がたくさん開いていて、これに水素と酸素がたまるのだそうです。

次に水素と酸素がたまった鉛筆の芯に電子オルゴールをつなぐと、電気分解の逆の反応である発電によって、オルゴールが鳴り出します。オルゴールの音がよく聞こえるように雑音の少ない屋外で撮影させてもらいました。今年の3月に水素エネルギーについての講演会を開催しましたが、この反応系はまさに「燃料電池」ですね。

不思議な木のおもちゃショー
電源がないのに動く木のおもちゃのショーです。例年は、子ども達が実際に木のおもちゃに触って動かしていましたが、今回は感染防止のため、ショー形式で行われました。これは、トイレットペーパーやビデオテープなど身近なものを使ったピタゴラスイッチです。屋外からの撮影のため、小さくて見にくいので全画面モードでご覧ください。(ズームで撮影すべきでした・・・)

不思議な木のおもちゃショー
これは「ペンデュラムウェーブ」というものだそうです。各振り子の長さを、1分間の往復回数が少しずつズレるように調整して、全ての振り子を同時に揺らし始めると、揺れ方はズレていきますが、1分後には元に戻るのだとか。動画では1分6~7秒ぐらいですね。ここで使われているおもりは、フリーマーケットで見つけたビリヤードの球だそうです。

現在(2021年12月)、日本のCOVID-19の新規感染者は少ない状況が続いています。来年の科学の祭典は、誰でも自由に参加できる例年の開催方法に戻せるかと期待していましたが、海外ではまだ収束の兆しが見えないばかりか、感染力が強いと言われる新しい変異株オミクロン株まで出現しています。
変異株の呼称には、ギリシャ文字が使われていますが、あと9文字しかありません。ギリシャ文字を使い切ったら何を使うのでしょう?候補に挙がっているのは星座の名前なのだとか。ウイルスの呼称に星座名なんて!そうなる前に世界的にも収束してほしいものです。ただ、現状ではかなり難しそうです。来年度の科学の祭典も、今年度の経験を活かし、感染症対策をしながら開催できたらと思います。