国立研究開発法人 物質・材料研究機構 ( NIMS )
磁性・スピントロニクス材料研究センター 主幹研究員

【お詫び】当講演会のチラシにある画像で「CDプレイーヤー」となっているのは、「ハードディスクドライブ」の間違いでした

講演会は約60名の方が聴講され、40名の方にアンケートにご協力いただきました。アンケートには、「面白かった」、「自分でも調べてみたい」、「勉強になった」と回答された方が90%以上、「参加してよかった」が100%でした。

講演の主な内容は、・磁石の種類と性質 作り方 ・磁石の起源(磁石の性質の元) ・最近の研究の紹介 などでした。

永久磁石の種類には、いくつかありますが、私たちになじみ深いのはフェライト磁石とネオジウム磁石でしょう。フェライト磁石はホワイトボードなどでよく見かけます。ネオジウム磁石は現在、世界最強の磁石で、これは日本の佐川眞人氏が開発されたそうです。佐川氏が2012年(第28回)日本国際賞を受賞された際の記念講演(2012年4月26日)「ネオジウム磁石はこうして見つけた」のレポートを読んでみてください。NHKの「プロジェクトX」のような内容で面白く、また、本日の講演内容を、より深く理解できると思います。

磁石は昔から当たり前のように身近にあったからか、磁石がどのように作られるのかを考えたことのある人は少ないのではないでしょうか。より強く、そしてネオウジムなどのレアアースの量をより少なく、と現在も磁石の製造方法が研究されています。

面白かったのは、ハルバッハ磁石についてです。ハルバッハ配列は、磁石の特殊な配置で、配列の片側で磁場を増大させ、もう片側で磁場を打ち消すものです。この配置の結果、磁束が片側に集中するため、必要な個所に磁場を集中させることができ、リニアモーターカーやMRIなど、いろいろな用途があります。

【 お互いに引き合うS極とN極が向かい合うようにした通常の配置 】

【ハルバッハ配置(N極同士が反発し合うが無理やり?配置)】この図では上側の磁力が強く下側が弱い
下の動画で実験が見られます

NIMSのサイト「材料のチカラ」に「未来の科学者たちへ」という動画集があります。その中に今回の講演会でも上映された「ハルバッハ配列」があります。

「材料のチカラ」の「未来の科学者たちへ」→ https://www.nims.go.jp/chikara/ には、興味深いテーマの動画がたくさんあります。「シャープ芯の配向実験」、「ネオジム磁石の弱点」という磁石関連の動画もありますので、ぜひ観てみてください。

講演の最後に紹介されたのは、MRAM(次世代不揮発性メモリ)についてです。従来のエレクトロニクスでは、メモリとして使われているDRAMは、電子の電荷を利用しているので、この電荷は時間とともに失われてしまう“揮発性”です。一方、スピンは電子が自ら動いているので、“不揮発性”です。電子のスピンを利用する不揮発性メモリは、大容量・高速動作が期待され、研究が進められているとのことです。

講演会の最後は質問タイムです。かなりハイレベルな内容でしたが、小学生からの質問もありました。講演終了後にも、直接講師に質問している熱心な高校生もいました。

【お礼】当講演会は大分市の「1%応援事業」の補助金によって開催しておりますが、これだけでは開催費用が不足するため、受付にてカンパをお願いいたしました。ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。